ビジネスアジリティ・   マニフェスト 序説

    ロジャー・バールトン,ロナルド G. ロス,ジョン A. ザックマン1

    (訳)植松隆,塩田宏治,清水千博,  庄司敏浩

    我々が産業化の時代から知識の時代へ移りゆく途上にいることは明らかである。

    この新しい時代のビジネスにとって情報技術が果たす役割は,しばらくの間先見性がある著名な人たちによって予見され,議論されてきた。 おそらく最も有名なのはピーター・ドラッカーが1998年に語った次の言葉であろう。“次の・・・情報革命は本格化してきている。だがそれは,情報科学者,情報担当の経営幹部,情報産業界が概して予期しているところでは起きないであろう。それは技術,機械,技法,ソフトウェア,スピードにおける革命ではない。コンセプトにおける革命なのだ。2

    時間をかけ実質的な議論をし,また技術そのものについて数多くの大きなイノベーションがおきているにも関わらず,実際に何が変わったであろうか?我々は未だにテクノロジー,機械,手法(例えば,リーン,アジャイル,ケイパビリティ),スピード,ソフトウェア(我々は今もコードを書いている)に焦点を当てている。 我々は今何十億行というコードを保有している。それには柔軟性があるだろうか?いや,ない。それは統合されているだろうか?いや,されていない。それは再利用可能だろうか?いや,できない。それは相互運用性があるだろうか?いや,ない。それはビジネス戦略と整合しているだろうか?いや,していない。そのセキュリティは万全だろうか?いや,そうではない。それは期待に応えているのだろうか?いや,応えていない。

    何が問題なのだろうか?

    ドラッカーの観察によると,革命を実現するのは技術そのものではないことを,これまでの革命の歴史的なパターンが示している。それを起こしているのはコンテンツの,我々の場合で言うならばビジネスのオーナーとその受益者なのである。

    このマニフェストの原則は,“ よくあるような“技術ではない。これらの原則は,異なる。それはビジネス原則である。

    我々は数十億行のコードをもつ現在のシステムを動かし続けなくてはいけないと,科学技術者が主張していることは間違ってはいない。 しかし我々の主張は,もし自分たちの慣行のコンセプトを変えようとするならば,何かを新規に導入する機会があれば常に,このマニフェストの原則を積極的に受け入れ,粘り強く続けるべきであるということだ。 変革は意識的に繰り返し段階的に行わなければならない。すぐにでも,そうしなければならない。取り掛かるべきときは,今なのだ。

    農耕時代の企業は,産業化の時代の企業に太刀打ちできなかった。産業化の時代の企業は,知識の時代の企業に勝つことはできない。 問題は革命が起きつつあるかどうかではない。それは現に起きている。 問題は,あなたはそれにどう取り組んでいくかである。前に進んでいく道を示すことが,このマニフェストの目的である。

    これが,あなたがすべきことなのだ。

     

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    [1] コンテンツへのインプットを提供しマニフェスト・ドキュメントのセットを構成してくれたGladys S.W. Lam と、完成するまで作業の面倒を見てくれた Sasha Aganova に感謝します 

    [2] Peter Drucker. Forbes ASAP, August 24, 1998

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